本記事は”グラジオスメックオペレーション”の制作後記になります。
ゲーム本編のネタバレが多大に含まれています。
Easy FPS Editor CEは手軽さを重視したステージエディット特化のツールであり、敵キャラの挙動はプレイヤーに近寄りながら射撃か格闘、移動速度0なら固定砲台というとてもシンプルなものになっています。
いたずらに敵種類を増やそうとしても没個性なりかねないので、パラメーター調整だけで個性を出せる範囲内として8種類で敵キャラ作成を終了としました。
それに対して本作は11ステージ+ボス戦という構成であり、新しい敵が登場しない面がでてきます。そのなかでいかに間をもたせるかをレベルデザインのテーマにしています。
同じ敵キャラを使いまわしても新しい体験にするために、「顔見せ→基本→応用」という3段階の変化を意識して配置をしてきました。
ステージの「顔見せ→基本→応用」
これはドウクツの一幕です。
踏むとダメージになるマグマタイルが初登場しますが、最初のマグマタイルはプレイヤーから近寄らなければ視界に入ることすらありません。
そこから進んでいくと道中で視界に入るようになりますが、それでも無視して進んでいけます。
そこからさらに進んでようやくマグマタイルをジャンプで飛びこえる局面を用意しました。このように少しづつ脅威度をましていっています。
また、広い視野でみればドウクツがマグマタイルの顔見せステージであり、後にでてくるヨウコウロで応用的な配置をする布石にもしています。
マグマタイルが多少あっても違和感ないロケーションとして洞窟を採用しました。
敵キャラの「顔見せ→基本→応用」
こちらはもっと具体的に3段階の習熟を意識した配置をしています。
この黄色い敵はHPが高いという長所をもっていますが、射撃武器がないという欠点があります。
最初の出会いでは開けた場所でタイマンするので、引き撃ちしてあっけなく倒すことができます。(顔見せ)
ステージを進んでいくと、射撃系の敵と組み合わせて登場します。HPの高さで攻撃を受け持ち、弾を撃つ時間を稼ぐ。タンク役の基本的な立ち回りです。(基本)
プレイヤーは単に後ろに下がるのではなく、角を曲がって射線を切る動きが必要になるので難しいプレイングを要求されます。
最終的にはマグマタイルまみれの地形で登場します。引き撃ちというわかりやすい対処法が封じられ、HPの高さが際立ちます。(応用)
プレイヤーは火力で押し切るのか、逃げるとしたら目の前のマグマタイルは飛び越えられるのかなど、さらに複雑な判断や操作精度を要求されます。
このように、十分な個性をつけることができれば敵や地形の組み合わせで長所を活かしたり潰したり、欠点を表面化させたり踏み倒したり、さまざまなシチュエーションを表現できるようになります。
このほかにも、半ブロックで体を隠すことで的を小さくするなど様々な形で敵キャラを演出しました。
初見の敵に出会うと動きを分析して対処法をあみだしていく楽しみがあります。
一方、見知った敵に新たなシチュエーションを設けることができれば、敵の動きから今後の展開を「予測」し、それに対処するという別方向のプレイ体験を期待できます。
シルエットクイズは簡単に
アクションゲームはリアルタイムの判断が重要になるため、地形の把握に余計なリソースがかかるのは悪手。一瞬で判別できるようにしたほうが良いという話は別の記事でしましたが、地形だけでなく敵キャラも一瞬で判別できるに越したことはありません。
その指標として、シルエットにしても種類がわかるかどうかでデザインの質を評価することができます。
本作の敵キャラは腕の有無や胴体の厚みなど、意識して別の形になるようにしました。
作業工数を減らすために足を使いまわしていますが、それでも前掛けをつけて腰回りのシルエットを変えたり、腰幅を広げたりして別物に見えるように工夫しています。
デザインが細かくなると平準化されてしまう(細かすぎる水玉模様は一色ベタ塗りとほぼ同じ)ので、一種の記号化も必要になるでしょう。
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