UIのつもりでエフェクトをつくる

UIのつもりでエフェクトをつくる

※参考用のアニメーションはこちらご参照ください→ https://www.nicovideo.jp/watch/sm43173107

 エフェクト類は最悪なくてもゲームとして成立させることは可能です。
しかし、ゲームの完成度を高め、快適に遊べるようにする上では重要な要素です。

 撃った弾が敵に当たって消滅した場面を用意しました。
これは撃破には至らないだけでダメージを与えられていると考えて攻撃を続けるべきでしょうか?
それとも、全く効いていないと考えて無視して進むべきでしょうか?
これでは完全にノーヒントで判断のしようがありません。

 このような場合に適切なエフェクトがあれば、プレイヤーは状況が一発で分かります。
つまり、エフェクトにはUIのようにゲームの内部処理を公開する役割があるのです。
 プレイヤーがゲームを遊ぶ際、常に開発者が横にいて「あ、これは攻撃が効いてないのであとでパワーアップアイテムを取るまでは逃げてください」といったように説明を受けながら遊べるわけではありません。
謎解き要素など意図的に隠したいときなどは例外ですが、基本的にはプレイヤーが欲しがる情報を常に先回りして公開する必要があります。
開発者は具体的な数字や実行条件といった知識の面でゲームを知り尽くしており、さらにテストプレイを繰り返すことで感覚においてもゲームを知り尽くしています。
おそらく、体内時計だけで敵の攻撃リズムを把握して避けることすらできるでしょう。
そのような状態で初見で遊ぶプレイヤーの立場を想定するのはとても難しいことですが、説明漏れがある分だけ遊びづらい印象を持たれてしまいます。
また、説明するにしてもあからさまなチュートリアルはプレイのテンポを悪くする(第一印象を決める最初の5分を消費する)上に読み飛ばされる可能性もあるので、言葉を使った説明はあくまで最終手段。表現力を高め、印象だけで機能や効果を正しく伝えられるように努力するべきです。
リアルイベントは作品の宣伝だけでなくプレイヤーが遊んでいる様子を生で見られる点でも有益だと思います。

 どの部分にエフェクトを加えるべきかを判断するときは、自分のゲームの構想を今一度確認するのが重要です。
例えば、同じボタンでも主人公の歩き時と走り時とでは別の技が派生するゲームだとします。
歩きと走りの違いをわかりやすくするために足音を変えたり走り時だけ足元にエフェクトを追加するといった策が思い浮かびますが、さらに「歩きから走りに移り変わった瞬間」にもエフェクトを追加して強調してみましょう。
様々な技を選んで使える都合上、プレイヤーは移動のためではなく技を撃つために走りたいというケースも十分ありえます。
主人公のアニメーションをよく観察すれば歩きと走りの差がわかるかもしれませんが、逆にいえば、いちいち観察しなければならないということです。
そこで、アニメーションを見るのではなく特定のエフェクトや効果音が出た瞬間にボタンを押せば走り攻撃が出るという状態にすれば、プレイヤーは最速で技を出しやすくなります。

 厳密にはエフェクトではありませんが、2Dマリオシリーズで上入力するとマリオが上を向く仕様も素晴らしい例です。
掴んでいるものを上または前に投げられるという仕様があるため事前にスティックの入力状況を確認する必要がありますが、UIで矢印を出したりレーザーポインタを出すよりもはるかにスマートなやりかたでプレイヤーに情報を開示しています。

 もちろん、見栄えをよくするためにエフェクトを使いたい場合もあります。
そのような場合は空気遠近などのテクニックを使い、UIの一環として見てほしいエフェクトと軽く流してほしいエフェクトに明確な違いをつけておきましょう。
また、プレイヤーを騙す情報を与えないように注意する必要もあります。
例えば、「バキュウゥゥウウウン!」とけたたましい音を鳴らすと強い攻撃を連想します。
ザコ敵の豆鉄砲にその効果音を割り当てるとイメージと違って弱いダメージなのでプレイヤーに余計な混乱を与えてしまいます。
エフェクトの表示時間と効果音の再生時間が違うのもよくありません。エフェクトの表示が終わっても効果音が鳴り続けていると、プレイヤーに何を伝えたくてその音が鳴っているのかがわかりにくくなります。

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